旅館業許可について
旅館業とは「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」と定義されております。
従来、旅館業を365日フルで行うには、国家戦略特区(国が指定した特区民泊条例を制定している自治体)以外で旅館業法の「旅館」または「簡易宿所」の許可を取るしかありませんでした。
「旅館」は5室以上という要件もあり、戸建ての住宅やマンションの一室など小規模な施設は対象外となり、5室未満の施設で民泊を行うには、簡易宿所で申請する必要がありました。
簡易宿所という制度で許可を得るにはハードルが高い部分もあり、一つの部屋に複数のグループが同時に宿泊することを想定している為、トイレが最低2つなければならないなど、様々な制約があり民泊の実態とかけ離れていました。
その結果、許可を取って合法的に営業したくとも難しいケースが多く、違法ヤミ民泊の増殖の大きな原因になっていました。
そこで平成30年6月、住宅宿泊事業法の施行に併せて、ようやく旅館業法も大幅な改正をするに至りました。
旅館業法の改正によって、旅館営業とホテル営業は「旅館・ホテル営業」として統合されました。
また従来の旅館申請にあった5室要件が撤廃され、1室からでも許可が取れるようになりました。
その結果「簡易宿所」を選択する理由がなくなり、トイレの増設などをせずに申請することが可能になりました。
さらに、玄関帳場(フロント)設置基準が緩和され、ビデオカメラでの顔認証によるICT設備での本人確認や近隣建物内での管理も認められるようになりました。
-旅館業のメリット/デメリット-
メリット01.
365日年中営業可能!
旅館業許可における一番のメリットは1年365日フルで営業できることです。
もちろん特区民泊のような最低滞在日数もなく、1日単位で宿泊させることが可能です。
メリット02.
予算を抑えられる
住宅宿泊事業法の届出では大幅な費用がかかり増設が難しいと言われている必要なシンク付キッチン設備は不要です。
メリット03.
競合が少ない
旅館業許可は、許可要件が厳しいと言われております。
許可業者も少ないため、一度取得してしまえば、好条件でビジネスを展開することができます。
特に外国人観光客は、大規模なホテルや旅館は避ける傾向があると言われ、立地やコンセプト次第では、そうした資本系宿泊施設とバッティングすることなく、独自のビジネスを展開できます。
デメリット01.
用途地域に制限がある
旅館業は営業できる区域に制限があり、住宅専用地域など一定の用途地域内での営業はできません。
また東京都の場合、東京都建築安全条例の要件があるので注意が必要です。
営業できない地域を選択した場合は許可が通らないことになりますので、物件選びには注意が必要です。
デメリット02.
宿泊者の本人確認設備の設置
フロント設置義務が撤廃されたのは大きなメリットとはいえ、現在も宿泊者の本人確認をするための体制は求められます
。ただし監視カメラでの確認が原則認められるようになったので、物件選びの幅は広がりました。
また、共同住宅やオフィスビルの一角で行う場合は、動線の問題もあり、ここで引っかかるケースが多いです。
デメリット03.
管理人の常駐義務
管理人を24時間常駐させることは旅館業の大きなデメリットの一つになります。
要件が緩和され宿泊施設の同一建物内だけでなく、10分以内に駆けつけられる近隣管理事務所で常駐が可能となりましたが、ワンルームなど小規模の民泊の場合は、管理人を24時間常駐させる為の人件費や常駐場所の確保などで場所によっては収益面で厳しくなることもあります。
デメリット04.
用途変更の確認申請
戸建や共同住宅、オフィスビルなどで旅館業を行う場合、建築基準法の用途が変わりますので、用途変更の確認申請が必要になり、費用と時間がかかります。
ただし100㎡以下なら確認申請は不要です(法改正により200㎡以下に緩和が決定)。
-お手続の流れ-
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お問い合わせ・ご相談
まずは、お電話または問い合わせフォームにてご連絡下さい。
簡単なヒアリングとお打ち合せのスケジュールをご相談させていただきます。
候補の物件がありましたら間取り図などの資料をご用意いただくとスムーズです。 -
2.お打ち合せ
お打ち合せでは、営業希望地、内装・設備、宿泊定員、開業希望日などプランやイメージをお聞かせいただき、物件探しのポイントなどをご説明します。
候補の物件が決まっている場合は、ご希望により、許可の基本的な要件をクリアしているかどうかの簡易診断(1万円~)のみも承ります。
物件が決まりましたら、許可取得までのスケジュールや費用のお見積りをを致します。 -
事前調査
正式にご依頼をいただきましたら、具体的な取得要件の調査に進みます。
許可取得に必要となる手続、施設・設備、運営管理体制など、保健所・消防署・役所の各部署等と具体的な打ち合わせ・調整を行い、プランにゴーサインが出る段階(=プラン通りに申請すれば許可が下りる)まで徹底的に調査を行います。
当事務所では、関係機関にゴーサインをもらってからお客様に物件購入や内装工事に入っていただきますので、費用が無駄になるリスクを最小限に抑えます。 -
申請手続き着手
事前調査で問題がなければ、許可申請や工事に着手します。
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申請書類・図面の作成
旅館業許可では、周辺見取図、建物の配置図、各階平面図、正面図及び側面図、客室面積の算定図、衛生設備・空調設備・照明設備の各系統図、客室・浴室・トイレ等の窓の大きさ・構造の図面、玄関帳場の構造図面、配管図など多数の図面が必要です。
当事務所では、図面は専用CADソフトを使用して、正確かつ綺麗に仕上げますので、審査で引っかかるリスクが大幅に減ります。
図面の作成にあたり測量が必要となりますので、ご都合が良いときに伺って計測させていただきます。
内装工事にあたっては、消防署に工事計画届・消防用設備等設置届や防火対象物の使用開始届など多数の届出が必要になります(設備工事業者が行います)。
工事完了後に消防署の実査を受け、問題なければ消防法令適合通知書交付申請を行います。
物件によっては用途変更の建築確認申請が必要になります。 -
許可申請書類の提出
申請書類が完成したら、必要箇所に押印をいただき、管轄の保健所に提出いたします。
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施設検査
保健所職員が立入検査を行います。
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許可書交付
書類審査・施設検査をクリアすると許可書が交付され、晴れて民泊営業が可能になります。
※標準処理期間は10営業日ほど(保健所により異なる)
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