在留特別許可
在留特別許可とは、不法滞在やオーバーステイなど退去強制事由に該当するため本来は退去強制される外国人に対し、法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると判断したときに、特別に与える在留許可です。
在留特別許可には4つの類型があります。
異議を申し出た者がそのいずれかに該当するときに許可することができる、と定められていますが、在留資格許可は例外的な恩恵的措置とされており、法務大臣自由裁量によるので、該当していたとしても必ず許可されるわけではありません。
認めてもらうには、「安定した日本人との婚姻生活」「素行の善良性」「生活の安定」「人道上の問題」等を加味し、在留特別許可をする必要性があるかどうかがポイントとなります。
在留特別許可の4つの類型
- ①永住許可を受けているとき
- ②かつて日本国民として日本に本籍を有したことがあるとき
- ③人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に在留するものであるとき
- ④その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき
在留特別許可に係るガイドライン
1.在留特別許可に係る基本的な考え方
在留特別許可の許否に当たっては、個々の事案ごとに在留を希望する理由、家族状況、生活状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、更には我が国における不法滞在に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案して判断することとしている。
2.在留特別許可の許否判断に係る考慮事項
在留特別許可に係る基本的な考え方については上記のとおりであり当該許可に係る「基準」はないが、当該許可の許否判断に当たり考慮する事項は次のとおりである。
(1) 積極要素
積極要素については、入管法第50条第1項第1号から第3号(注参照)に掲げる理由のほか、次のとおりである。
①当該外国人が、日本人の子又は特別永住者の子であること。
②当該外国人が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって、次のいずれにも該当すること。
ア 当該実子が未成年かつ未婚であること。
イ 当該外国人が当該実子の親権を現に有していること。
ウ 当該外国人が当該実子を現に本邦において相当期間同居の上、監護及び養育していること。
③当該外国人が、日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合(退去強制を免れるために、婚姻を仮装し、又は形式的な婚姻届を提出した場合を除く。)であって、次のいずれにも該当すること。
ア 夫婦として相当期間共同生活をし、相互に協力し扶助していること。
イ 夫婦の間に子がいるなど、婚姻が安定かつ成熟していること。
④人道的配慮を必要とする特別な事情があるとき。
(例)
・難病・疾病等により本邦での治療を必要とする場合
・本邦への定着性が認められ、かつ、国籍国との関係が希薄になり、 国籍国との関係が希薄になり、国籍国において生活することが極めて困難である場合
(2) 消極要素
消極要素については、次のとおりである。
①刑罰法令違反又はこれに準ずる素行不良が認められるとき。
②出入国管理行政の根幹にかかわる違反又は反社会性の高い違反をしているとき。
(例)
・不法就労助長罪、集団密航に係る罪、旅券等の不正受交付等の罪などにより刑に処せられたことがあるとき。
・資格外活動、不法入国、不法上陸又は不法残留以外の退去強制事由に該当するとき。
③過去に退去強制手続きを受けたことがあるとき。
(注)出入国管理及び難民認定法(抄)
(法務大臣の裁決の特例)
第50条 法務大臣は、前条3条の裁決に当たって、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
一 永住許可を受けているとき。
二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
三 人心取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。
2、3 (略)
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